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事例20230509(3)「空気よりも悲しみに満ちた家〜家族がバラバラになるという現実」

    愛してやまない奥さんの帰りをずっと待っていたお父さんとあずきちゃん。
    室内は奥さんの洋服やしあわせだった時代の小物が並んでいますが、
    みんな埃まみれで、くすんでいます。

    お父さんはアルツハイマーの新薬が出たニュースを観て
    「あの薬を飲んだら妻は帰ってきて、また料理を作ってくれるかなぁ」
    とケアマネさんに電話をしてきたそうです。
    一緒に寝ていたベッドは、絶対にお母さん側のスペースに入らず
    あたかも家にいるように暮らして現実を受け入れずにいました。

    しかし、そもそもお母さんが施設に入所したのは
    お父さんが無理やり食べさせようとして、
    パンを口に突っ込んで誤嚥性肺炎を起こしたからです。
    食べなくなり、弱るお母さんに食べさせようと必死だったのでしょう。

    家で待つうちにお父さんも弱り、病院に運ばれましたが、
    そこはお母さんのいる施設ではありません。
    さらに、余命も短いと診断されて緩和病棟に移されました。

    あれだけ待っていたお母さんと二度と会えないまま
    お父さんは亡くなることになりました。

    <続く>

    ※過去に起きた事例を整理してアップしています。

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